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「ぼた餅」と「おはぎ」のお話

まだまだ肌寒い時節ではありますが、一雨ごとに気温が上がり、日差しも徐々に暖かくなってきます。春雷がひときわ大きくなりやすい時季でもあります。
そして八百屋さんの店先には山菜が並び始めます。昔から「春は苦いものを食べよ」と言われています。苦味のある山菜にはミネラルやポリフェノールなど、細胞を活性化させる成分が多く含まれています。冬から春へ、体も活動する準備を始めるこの時期にふさわしい食材なのですね。体のためにも旬の食材で春の訪れを味わいましょう。

御塩殿

この時期、神宮では御饌(みけ:神様の食事、供え物)、祓いに使われる御塩が作られます。生命に不可欠な塩は、神事にも欠かすことの出来ない大切なものです。御塩殿神社に隣接する御塩殿において、粗塩を三角錐形の土器につめて堅塩に焼固めます。1日で20個、5日間で100個を焼き固めます。これらの工程を経て得られた塩が御塩と呼ばれます。

一般的には、春はお彼岸です。こちらは日本独自の仏教行事です。「暑さ寒さも彼岸まで」というように、季節の節目の3月と9月にお彼岸があります。今ではそれぞれ春分の日と秋分の日と結びつき、墓参りなどをする年中行事となっています。春分・秋分の日が、太陽が真東から上がって真西に沈むことから、西方極楽浄土の信仰と結びついたそうです。

お彼岸のお供え物と言えば、「ぼた餅」と「おはぎ」ですね。
実はこの2つ、材料から作り方まで全く同じ食べ物で、違うのはその呼び方だけということは知っていましたか。
では、どうしてわざわざ違う名前で呼ばれるのでしょうか。そこには、日本人の四季に対するこまやかな心づかいがあるからです。
「ぼた餅」は漢字で書くと「牡丹餅」、「おはぎ」は「お萩」と書きます。すなわち、「ぼた餅」は春に咲く牡丹を、「おはぎ」は中秋の名月に供える「萩」から名付けられているのですね。
ちなみに、お彼岸に「ぼた餅」や「おはぎ」を食べる理由については、材料に使われる小豆の朱色が、災難から身を守る除厄の効果があるとされていたからです。

日本では神事も仏事も上手に生活に取り入れて受け継がれてきました。そんな日本の風習をいつまでも正しく伝えていきたいものです。

御塩焼固(みしおやきがため)

<わたしたちは伊勢神宮・出雲大社 奇跡の両遷宮「神の宮」 増浦行仁写真展に協賛しています>

増浦行仁
増浦行仁プロフィール

1963年生まれ。1981年渡仏。1983年 VOGUE(Paris)ギィ・ブルダンのアシスタントとなる。1987年サロン・ドートンヌ入賞。ルーブル、オルセー、パリ近代美術館、ロダン美術館にてポスト印象派の彫刻を撮影。1988年フランス国立図書館に作品31点が永久保存される。2002年、フィレンツェのカーサ・ブオナローティ(ミケランジェロ美術館)を皮切りに、2003~4年日本国内各地にて『GENESIS』(ミケランジェロ作品集)展開催。2006年より神宮司庁の許可を得、伊勢神宮「第62回式年遷宮」ならびに2008年より出雲大社「平成の大遷宮」の撮影をそれぞれ開始する。2013年5月に出雲大社、10月に伊勢神宮の正遷宮(神体の渡御)が行われるまで撮影に従事。これらの撮影作品は『神の宮』として国内外で巡回展を開始。同時に日本の精神文化、その自然観と伝承知による地球40億年の生命の継承を伝える「神の宮共働態」を結成。 写真集『GENESIS』『天狗の棲む山』、関連書『おれは土門拳になる~“奇跡の光” にたどり着いた写真家・増浦行仁の生き方~(村尾国士/著)』

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