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さんつね編纂 日本食紀

初鰹で寿命が延びる?

桜の花が一斉に咲き出し、春の訪れが実感できます。日本の食文化は、季節を感じながら季節の味をいただくことを大切にしています。山や海の幸もいろいろと出回り始め、中でも昔から有名なのが「初鰹」です。

かつおの旬は年に2度あります。春から初夏にかけて黒潮にのって太平洋岸を北上するかつおが「初鰹」で、秋の水温の低下に伴い、三陸あたりの海から関東以南へ南下してくるかつおが「戻り鰹」です。餌をたっぷり食べている「戻り鰹」は脂がのっているのに対し、「初鰹」はさっぱりしているのが特徴です。旬の走りの「初鰹」は今も昔も人気の初夏の味覚です。

神宮ではこの季節、稲の種まきをする「神田下種祭」が行われる。
神宮ではこの季節、稲の種まきをする「神田下種祭」が行われる。

初物にこだわる理由のひとつが、昔から初物を食べると寿命がのびる、福を呼ぶと考えられ、縁起が良いとされていたからです。初物とは、実りの時期に初めて収穫された農作物や、シーズンを迎え初めて獲れた魚介類などのことです。他の食べ物にはない生気がみなぎっているとされ、それを食べれば新たな生命力を得られると考えられていたのです。

日本人が昔から旬を大事にしてきたのは、おいしさや季節感を堪能できるだけではなく、旬の食べ物に力があることを知っていたからなのですね。たとえば、春の山菜は代謝を促し冬の体を起こします。夏野菜は体を冷やし、秋の実りは体を肥やし、冬野菜は体を温めるなど、旬のものを味わうことで自然に体調が整うため、旬を大事にすることはとても理に適っているのです。

ソメイヨシノが開き始めると、そろそろ稲作の季節が始まります。伊勢神宮でも神田に稲種を蒔く神田下種祭が行われます。稲が立派に育つようにと祈りを捧げた後、御田歌(みたうた)に合わせて、忌種(ゆだね)を蒔きます。古来、日本人にとってお米は最も大切な食べものであり、力の源といえます。季節の変わり目は体調を崩しやすいものです。先人の遺してくれた素晴らしい食文化を体感しながら、おいしい初物をいただき、健やかに日々をお過ごしください。

<わたしたちは伊勢神宮・出雲大社 奇跡の両遷宮「神の宮」 増浦行仁写真展に協賛しています>

写真:増浦行仁
増浦行仁プロフィール
1963年生まれ。1981年渡仏。1983年 VOGUE(Paris)ギィ・ブルダンのアシスタントとなる。1987年サロン・ドートンヌ入賞。ルーブル、オルセー、パリ近代美術館、ロダン美術館にてポスト印象派の彫刻を撮影。1988年フランス国立図書館に作品31点が永久保存される。2002年、フィレンツェのカーサ・ブオナローティ(ミケランジェロ美術館)を皮切りに、2003~4年日本国内各地にて『GENESIS』(ミケランジェロ作品集)展開催。2006年より神宮司庁の許可を得、伊勢神宮「第62回式年遷宮」ならびに2008年より出雲大社「平成の大遷宮」の撮影をそれぞれ開始する。2013年5月に出雲大社、10月に伊勢神宮の正遷宮(神体の渡御)が行われるまで撮影に従事。これらの撮影作品は『神の宮』として国内外で巡回展を開始。同時に日本の精神文化、その自然観と伝承知による地球40億年の生命の継承を伝える「神の宮共働態」を結成。
写真集『GENESIS』『天狗の棲む山』、関連書『おれは土門拳になる~“奇跡の光” にたどり着いた写真家・増浦行仁の生き方~(村尾国士/著)』

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