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さんつね編纂 日本食紀

「熨斗」- 日本古来の贈る心

みなさんは、ご進物や贈答品に添える「のし紙」はご存知ですよね。
それでは、この熨斗がもとは、熨斗鮑(のしあわび)と呼ばれるものだったことは、ご存知でしたか。

二見浦
「二見浦(ふたみがうら)」

熨斗鮑は、アワビの肉を薄く削ぎ、干して琥珀色の生乾きになったところで、竹筒で押して伸ばすことから、「のしあわび」と呼ばれます。
「のし」は延寿に通じ、アワビは長寿をもたらす食べ物とされたため、古来、アワビは縁起物とされ神宮の神饌としても用いられてきました。さらに、中世の武家社会でも武運長久の印と重宝がられ、陣中見舞いなどに用いられました。
やがて祝事や慶事の際、高価な贈答品に添えられるようになり、時代の移り変わりと共に熨斗鮑を和紙に包んだ形を「のし」と称するようになりました。こうして贈答品には「のし」をつけるという風習ができたようです。
仏事における精進料理では魚などの生臭物が禁じられていますが、仏事でない贈答においては精進でないことを示すため、生臭物の代表として熨斗を添えるようになったとも言われています。

イラスト:熨斗
 

時代とともに簡略化され、紅白の紙を折り込んで中央に黄色の短冊状の紙が付されているものを熨斗とすることが多く、この黄色の短冊状の紙の部分が熨斗鮑を表しています(折り熨斗と呼ばれる)。現代では、全てが印刷された「のし紙」がほとんどです。
形は変われど、古くより続いている日本人の細やかな気遣いを表す風習はこれからも受け継いでゆきたいものです。

そろそろお中元の季節です。
お世話になった人に心を込めて、日本の伝統とともに心づくしの品をお贈りください。

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<わたしたちは伊勢神宮・出雲大社 奇跡の両遷宮「神の宮」 増浦行仁写真展に協賛しています>

写真:増浦行仁
増浦行仁プロフィール
1963年生まれ。1981年渡仏。1983年 VOGUE(Paris)ギィ・ブルダンのアシスタントとなる。1987年サロン・ドートンヌ入賞。ルーブル、オルセー、パリ近代美術館、ロダン美術館にてポスト印象派の彫刻を撮影。1988年フランス国立図書館に作品31点が永久保存される。2002年、フィレンツェのカーサ・ブオナローティ(ミケランジェロ美術館)を皮切りに、2003~4年日本国内各地にて『GENESIS』(ミケランジェロ作品集)展開催。2006年より神宮司庁の許可を得、伊勢神宮「第62回式年遷宮」ならびに2008年より出雲大社「平成の大遷宮」の撮影をそれぞれ開始する。2013年5月に出雲大社、10月に伊勢神宮の正遷宮(神体の渡御)が行われるまで撮影に従事。これらの撮影作品は『神の宮』として国内外で巡回展を開始。同時に日本の精神文化、その自然観と伝承知による地球40億年の生命の継承を伝える「神の宮共働態」を結成。
写真集『GENESIS』『天狗の棲む山』、関連書『おれは土門拳になる~“奇跡の光” にたどり着いた写真家・増浦行仁の生き方~(村尾国士/著)』

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