TOP > 食にまつわるあれこれ > 祈年祭(きねんさい)のお話

さんつね編纂 日本食紀

「祈年祭(きねんさい)」のお話

立春を迎えると少しずつ寒さが和らぎ、日差しには春の気配が感じられるようになってきます。
野山では山菜が芽吹き、海では海藻がイキイキと育ち始めます。植物たちがいち早く春の訪れを教えてくれます。

神宮では毎年2月17日に「祈年祭」が執り行われます。「祈年祭」とは「としごいのまつり」ともいい、その年の五穀豊穣を祈願するお祭りで、秋の新嘗祭と相対するお祭りです。「とし」とは稲の美称であり、「こい」は祈りや願いのことです。

神宮神田にまかれる種籾(たねもみ)
神宮神田にまかれる種籾(たねもみ)

「このお祭りは、地域によって日は変わりますが全国の神社でも行われています。
五穀豊穣をもたらす山の神は、春になると山から降りてきて「田の神」となり、農作業を見守り、秋の収穫が終わるとまた山に帰っていく神様です。この春の祭りには、山の神の神迎え。相対する秋の祭りには、田の神の神送り等の神事があります。

すなわち、稲穂を蒔く季節の初めにあたって、その豊穣を祈願するわけです。言いかえれば人間の生命の糧(かて)を恵んでくださるようにとお祈りするお祭りといえるでしょう。お米一粒にも神さまの御霊(みたま)が宿ると考えられているのです。祈年祭では、五穀の豊穣とともに国の繁栄、そして皇室の安泰や国民の幸福なども祈願されます。

このように日本人は、春に豊作を祈り秋には収穫を感謝するという、稲作を中心とした営みを二千年以上繰り返して来たのですね。自然を敬い、神を祀ることは日本の大切な文化です。次の世代にも、正しく伝えて行きたいものです。

まだ空気は冷たく寒さも残る季節ですが、山野で、せりやわらびが顔を出したら、本当に春はもうすぐです。
元気な春の恵みを沢山いただき、心身ともに健やかにお過ごし下さい。

春の神田下種祭の様子
春の神田下種祭の様子

<わたしたちは伊勢神宮・出雲大社 奇跡の両遷宮「神の宮」 増浦行仁写真展に協賛しています>

写真:増浦行仁
増浦行仁プロフィール
1963年生まれ。1981年渡仏。1983年 VOGUE(Paris)ギィ・ブルダンのアシスタントとなる。1987年サロン・ドートンヌ入賞。ルーブル、オルセー、パリ近代美術館、ロダン美術館にてポスト印象派の彫刻を撮影。1988年フランス国立図書館に作品31点が永久保存される。2002年、フィレンツェのカーサ・ブオナローティ(ミケランジェロ美術館)を皮切りに、2003~4年日本国内各地にて『GENESIS』(ミケランジェロ作品集)展開催。2006年より神宮司庁の許可を得、伊勢神宮「第62回式年遷宮」ならびに2008年より出雲大社「平成の大遷宮」の撮影をそれぞれ開始する。2013年5月に出雲大社、10月に伊勢神宮の正遷宮(神体の渡御)が行われるまで撮影に従事。これらの撮影作品は『神の宮』として国内外で巡回展を開始。同時に日本の精神文化、その自然観と伝承知による地球40億年の生命の継承を伝える「神の宮共働態」を結成。
写真集『GENESIS』『天狗の棲む山』、関連書『おれは土門拳になる~“奇跡の光” にたどり着いた写真家・増浦行仁の生き方~(村尾国士/著)』

記事一覧へ